オフィスデザイン事例11選!おしゃれ・トレンドがわかる

働き方の多様化や採用競争の激化を背景に、「魅せる職場づくり」が企業の競争力を左右する時代になっています。そんな中で注目されているのが、企業文化や価値観を体現できる“オフィスデザイン”の工夫です。最近では、ABW(Activity Based Working)やバイオフィリックデザインといったトレンドも浸透しつつあり、オフィス空間は単なる「働く場所」から、「働きたくなる空間」へと進化しています。
日本企業でもこうした潮流に対応した事例が増加しており、総務・人事部門が中心となってオフィス改革を主導する動きが活発化しています。
この記事では、「オフィス デザイン」の最新事例や効果、デザインのポイント、さらには選ばれる企業の共通点まで、わかりやすくご紹介いたします。
目次
オフィスデザインで期待できる効果
オフィスデザインで期待できる効果は、「生産性の向上」「社員満足度の向上」「採用力・ブランディング強化」の3つです。
生産性の向上
オフィスデザインの工夫によって、従業員の集中力や業務効率の向上が期待できます。
たとえば、自然光を取り入れたレイアウトや、音環境に配慮した吸音パネルの設置、業務内容に応じたゾーニング設計を行うことで、不要なストレスの軽減につながり、結果として業務の生産性を高める傾向があります。
加えて、ABW(Activity Based Working)のように「働く場所を選べる仕組み」を導入することで、タスクに最適な環境を社員自身が選択できるようになり、作業効率の最大化が図られています。
社員満足度の向上
快適で機能的なオフィス環境は、社員の満足度やエンゲージメントを高める要因となります。
カフェ風のリフレッシュスペースやグリーンを活用した癒しの空間、プライバシーを確保できる集中ブースなど、多様な働き方に対応した空間設計は、社員の心身の健康や働きやすさを支えます。
さらに、オフィス環境の改善に社員の意見を取り入れることで、「自分たちの職場を自分たちでつくる」という意識が芽生え、組織全体の一体感も生まれやすくなるでしょう。
採用力・ブランディング強化
企業のオフィスは、採用活動やクライアント対応において「企業の顔」としての役割も担っています。
訪問者に与える第一印象や、SNSやWebサイトで発信されるオフィスのビジュアルは、企業のブランドイメージに直結します。
おしゃれで洗練されたオフィス空間は、求職者や取引先に対して「この会社で働きたい」「この会社と取引したい」と感じさせる強力なメッセージとなり、競争力の強化につながります。
オフィスデザインのトレンド
近年のオフィスデザインのトレンドとなっているのは、次の3点です。
ハイブリッドワークに対応した空間構成
コロナ禍を契機に浸透したリモートワークは、多くの企業で恒常的な働き方として定着しつつあります。
こうした中で注目されているのが、出社とリモートを組み合わせた「ハイブリッドワーク」に対応したオフィスデザインです。
具体的には、出社した際にチームとの対話や協働がしやすい共有スペースを設ける一方で、オンライン会議に適した個室ブースを用意するなど、目的別にゾーニングされた空間構成が求められています。
従来の一律的な席配置から脱却し、「なぜ出社するのか」という社員の動機に応じた設計が進んでいます。
こうした設計思想は、業務効率だけでなく、従業員の自律性や満足度を高める点でも評価されています。
ABW・フリーアドレスの定着
ABW(Activity Based Working)とは、「業務内容に応じて働く場所を自由に選べる働き方」を指します。
ABWに基づいたオフィスでは、固定席を廃止し、必要に応じて使えるデスクやミーティングスペース、集中ブースなどを整備する「フリーアドレス制」が主流となっています。
ただ、フリーアドレスによって、部署を超えた偶発的なコミュニケーションや、チームの機動力が向上するというメリットがある一方で、「どこで誰が何をしているのかわかりづらい」といった課題も指摘されていました。
そこで最近ではICTを活用して、座席管理や在席状況の可視化を行う仕組みも整備されており、制度としての定着が進んでいます。
バイオフィリックデザインの導入
バイオフィリックデザインとは、空間に自然(生物・生命)を取り入れることで、人の健康と幸福を向上させるデザイン手法を指します。
アメリカの生物学者であるエドワード・オズボーン・ウィルソン(Edward Osborne Wilson) によって提唱された「バイオフィリア理論」に基づいています。
自然とのつながりをオフィスに取り入れる「バイオフィリックデザイン」は、社員のストレス軽減や創造性の向上といった心理的効果をもたらすデザイン手法として注目されています。
木材や植物を使用した内装、自然光を最大限に取り入れる窓設計、水の音や香りといった自然要素の活用が代表的です。
バイオフィリックデザインは特に、リモートワークからの出社を促すための「オフィスの魅力づくり」として効果を発揮しており、「オフィスに行きたくなる空間」としての価値を高めています。
また、SDGsやウェルビーイングといった文脈でも評価されるため、企業ブランディングの観点からも採用されるケースが増えています。
オフィスの主要エリア別デザインの考え方
オフィス全体の統一感を保ちつつも、各エリアの機能と役割に応じて適切なデザインを施すことで、働きやすさと企業価値の向上が見込めます。
以下で、主要なエリアごとに押さえておきたいデザインのポイントを整理してご紹介します。
エントランス
エントランスは、来訪者にとっての“第一印象”を決める場所であると同時に、社員にとっても日々の始まりを象徴する空間です。
ここでは企業のブランドイメージや理念を視覚的に表現するデザインが求められます。
たとえば、企業ロゴを活かしたシンボリックな壁面や、自然素材を用いた温もりのある内装など。
また、来訪者の動線を意識し、受付機能をスマートに配置することも重要です。
執務スペース
執務スペースでは、集中と協働を両立させるレイアウト設計が鍵となります。
固定席とフリーアドレスの併用、チーム単位のグループ配置、パーテーションによる視線制御など、業務スタイルに応じた柔軟な構成が望まれます。
また、照明や空調などの快適性を保つ工夫も不可欠です。
最近では、可動式家具や電動昇降デスクを活用した可変性のあるデザインも増えています。
会議室・応接室
会議室は、社内外の重要なコミュニケーションの場であり、機密性と快適性のバランスが求められるエリアです。
遮音性の高い素材選びや、窓付きの明るい空間にすることで、圧迫感を軽減しつつ集中できる環境が整います。
応接室では、木目調やアートをあしらった意匠で落ち着いた印象を与えつつ、企業の格式や信頼感を感じさせるデザインが好まれます。
リフレッシュスペース
リフレッシュスペースは、社員のモチベーションや創造性を引き出す重要なエリアです。
カフェ風の空間、観葉植物を取り入れたバイオフィリックデザイン、カラフルで遊び心のあるファブリックなど、リラックスと刺激のバランスがとれたデザインが理想です。
また、近年ではオンライン会議の合間に使える「ちょっとした気分転換の場」として、立ち話ができるハイテーブルの導入なども注目されています。
オフィスデザインの計画で押さえるべきポイント
オフィスデザインを計画する際に、押さえるべきポイントは、以下の4点です。
目的とコンセプトを明確にする
オフィスデザインを成功させるための第一歩は、「なぜデザインを見直すのか」という目的を明確にすることです。
たとえば、「社員同士のコミュニケーションを活性化したい」「来訪者への印象を良くしたい」「ハイブリッドワークに対応したい」など、解決したい課題を洗い出し、それに応じた空間設計の方向性(=コンセプト)を定めることが重要です。
コンセプトが明確であれば、デザインの意思決定も一貫性を持って行うことができ、完成後の満足度にもつながります。
社員へのヒアリングを通じてニーズを把握する
デザインの実効性を高める上では、実際にオフィスを利用する社員の意見を取り入れることが不可欠です。
部署ごとの業務内容や使用頻度の高いスペース、困っている点などをヒアリングすることで、「現場で本当に求められている機能や改善点」を正確に把握できます。
また、社員がデザインプロジェクトに参加することで、導入後の定着率や利用満足度も高まる傾向があります。
規模・業務特性に応じたレイアウト設計を行う
企業の規模や業務内容によって、最適なオフィスレイアウトは異なります。
たとえば、プロジェクト型の働き方が中心の企業であれば、フリーアドレスやチームごとのミーティングスペースが重視されます。
一方で、電話応対が多い部署には遮音性の高いブース型レイアウトが効果的です。
また、成長フェーズにある企業では将来的な増員を見越した可変性のある設計もポイントになります。
セキュリティと安全性を確保する
オフィスの開放性やデザイン性を追求するあまり、セキュリティ面が疎かになってしまっては本末転倒です。
受付や入退室の管理、来客動線と社員動線の分離などは基本の対策です。
また、自然災害や感染症対策といったBCP(事業継続計画)視点での安全設計も重要視されています。
近年では、耐震・防災性を確保しつつも、柔らかな意匠で社員が安心して過ごせる空間づくりが求められています。
オフィスデザイン事例11選【画像付き】
最後に、実際のオフィスデザイン事例を画像付きで11点、厳選してお届けします。
事例1 tamaru WORK LOUNGE/株式会社丸井グループ

丸井グループの各社メンバーが、タスクフォースを組み、めざすべき働き方に合った新しいオフィス空間を創造するプロジェクト。ワークスタイルの見直しに向け、多様な働き方で利用できる新しいオフィス環境を低稼働のスペースを利用し、実現しました。
ソファ、スタンド席など、気分で選べる多様なスペースが設置されています。
事例2 D&Aコンサルティング オフィス/株式会社D&Aコンサルティング

IT系コンサルティング会社の株式会社D&Aコンサルティングさまのオフィスデザイン事例です。同社の企業理念が「Dream&Adventure」であり、これがオフィスデザインのテーマに。「自然とオフィスに来たくなるカフェのような空間」を狙っています。
みなとみらいの景観とオフィス空間を調和させ解放感と動きのある空間が実現しました。
事例3 木場ベニヤ商会 オフィス/株式会社木場ベニヤ商会

新木場でベニヤ板など建材の卸し業を営む木場ベニヤ商会のオフィス移転時のデザイン事例です。倉庫として使用していた場所をリノベーションし、魅力あるオフィスへ生まれ変わる計画でした。
「人の温もりを感じられる倉庫リノベーションオフィス」をテーマに、黒塗りされた鉄骨の天井と木のフローリング床を調和させることで、見た目は少し強面だけどその中に温かみを感じるようなオフィスを表現しています。
事例4 住友林業緑化 オフィス/住友林業緑化株式会社

住友林業緑化オフィスのエントランス・執務室内のリニューアルデザイン事例です。住友林業緑化の事業を象徴する植栽をふんだんに取り入れて、快適なオフィス空間を実現。
エントランスの既存壁面をなくすことで開放感と光を取り入れました。緑視率を重視し、エントランスはショールームの機能も備えた空間となっています。
事例5 平田タイル吹田営業所 / 株式会社平田タイル

4階建て自社ビルの1階、3階、4階のオフィスリニューアル工事を行い、ライブオフィスとしても機能するよう、随所で平田タイル様のタイル商材をつかった計画となっています。
植栽と木目の構成でバイオフィリックな空間を演出し、オープンでコミュニケーションが活性化するオフィスとなっております。
事例6 ベスト販売 二番町本社オフィス/株式会社ベスト販売

多面体のデスクレイアウトが、コミュニケーションを誘発するデザインの事例です。
社内コミュニケーションの活性化を生むことを目的とし、多面体のデスクを組合せる事によって島形状を変化できるデザインとなっております。
事例7 アベルコ東京オフィス 第三ビル/株式会社アベルコ

株式会社アベルコさまの企業カラーであるブルーを活用したタイルや木目の素材感を全面に押し出したデザインで、働く・リフレッシュの切り替えができる快適なオフィスを目指しました。リラックスできて、落ち着きのある空間を実現しています。
事例8 Fast Fitness Japan オフィス/株式会社Fast Fitness Japan

フィットネス施設である「Fast Fitness Japanらしい健康的な環境のオフィスを目指す-心身共にトータルで健康的な職場創り-」をテーマに、オフィスフィットネス ショールーム兼スタッフの健康維持、いつでも利用可能なフィットネススペースとしてデザイン。
WELL Buildingや健康性・快適性の観点に基づくオフィス環境づくりを実現しつつ、最も仕事に必要な場所を自分で選択して、自然に交流できる空間にしました。
事例9 地主株式会社 大阪本社/地主株式会社

特殊素材「しけ絹」をガラスに挟み込み、幾重にも重ねたデザインと機能としての高い防音性を兼ね備えた特殊硝子3層に包まれた空間構成を高い施工技術で実現しています。
「しけ絹」グラデーションが美しく、外光が入り込むとまた異なった表情を見せてくれます。
事例10 きこりんプラザ 住友林業本社8F/住友林業株式会社

住友林業本社の社員スペースのリニューアル事例です。社員専用のスペースから、すべてのステークホルダーに向けた開放的な場へのリニューアルプロジェクトとなりました。
「住友林業の森」をコンセプトに、住友林業の顔となるよう室内における「森」が表現されています。
事例11 NTTデータ 共用会議室/株式会社 NTTデータ

オフィスの共用会議室のリニューアルデザイン事例です。「バイオフィリックな会議室デザイン」をテーマに、無機質だった既存の会議室を、木目と植栽を取り入れたデザインにより、心地よく過ごせる空間にリニューアルしました。
天井には意匠性と吸音性を兼ね備えた木調の吸音ルーバーを設置し、床には、サステナブルなマテリアルを選定しています。ICT機器には大型スクリーンと液晶ディスプレイを導入。両サイネージで同様の映像を映し出すことで、座る位置問わず会議資料を見ることができます。
まとめ
オフィスデザインは、単なる内装やレイアウトではなく、企業の理念や文化、そして働き方そのものを体現する重要な経営資源となっています。
このため、生産性の向上、社員満足度の向上、そして採用・ブランディングの強化といった多面的な効果が期待できるため、総務・人事部門が中心となって戦略的に取り組む企業が増えています。
特に近年は、ハイブリッドワークやABW、バイオフィリックデザインといった新たな潮流が登場し、オフィスは「働かされる場所」から「働きたくなる場所」へと進化を遂げています。
もし御社でも「オフィスデザインの見直し」や「職場環境の再構築」をお考えであれば、専門的な知見と豊富な実績を持つパートナー選びがカギとなります。
エイムクリエイツでは、企業のブランドや目的に即した空間デザインをトータルでサポートしておりますので、ぜひ一度ご相談ください。
